腰椎すべり症の概要
腰椎すべり症の症状、原因、構造、治療ついて説明します。
腰椎すべり症とは、腰の背骨が正常な位置から前方にずれた状態をいいます。
腰椎すべり症は大きく分けて腰椎変性すべり症と腰椎分離すべり症に分けられます。その他に生まれつきの問題から起こる形成不全性すべり症もあります。
腰椎変性すべり症は中年以降の女性に多く、腰椎分離すべり症は発育期に発症する腰椎分離症にともなって起こる場合が多くみられます。発生要因の一つとして脊柱の不安定性があり、骨性の安定性と筋性の安定性が必要になります。
腰椎すべり症の症状は、腰痛とともに下肢のしびれや痛みなどがあります。間欠性跛行などもみられ、脊柱管狭窄症の症状とも類似しています。
腰椎すべり症の症状
特徴的な症状
主な症状としては、腰痛と下肢のしびれ、痛み、間欠性跛行などになります。
症状の初期では腰痛から始まることが多く、腰痛も前かがみ(前屈)で出ることもあれば腰を反らす動き(後屈)のときに出ることもあります。
初期の段階ではほとんどの場合、保存療法が選択されます。症状が軽い初期の頃は、一般的な腰痛の症状であることが多く腰椎すべり症に気づかないこともあります。
症状の末期には、間欠性跛行がひどくなり、会陰部の感覚麻痺(サドル型麻痺)や排尿障害・排便障害が起こります。
下記に記す緊急性の高い状態になると手術が検討されます。
※緊急性のある症状
以下の症状が出た場合は、緊急性を要し手術を検討する必要があります。
・痛みにより眠れない
・サドル型麻痺
・排尿障害
・排便障害
・筋力低下などで足がほとんど動かせない場合
腰椎すべり症の原因
腰椎すべり症は、変性すべり症と分離すべり症で発生機序や要因がちがいます。
それぞれの概要について説明します。
腰椎変性すべり症
腰椎分離すべり症に比べて腰椎変性すべり症の方が発生頻度は高くなっています。
加齢などによる椎間板や椎間関節の変性があり、筋力の低下が起こる中年以降の女性に多くみられます。
閉経後の女性に多いためホルモンの影響があると考えられています。特に第4腰椎と第5腰椎の間に多く生じるといわれています。
腰椎変性すべり症の発生は、腰椎の不安定性が基礎にあります。
女性に多いのは男性に比べて筋力が弱く、腰椎が不安定になりやすいことも要因の一つです。
女性は筋力が低下する40代以降に多く、男性は60代以降に多くみられます。
また、腰椎変性すべり症は、腰部脊柱管狭窄症の代表的な原因疾患になります。腰椎が前方に変位することで脊柱管が狭くなり、馬尾神経や神経根が刺激され両下肢のしびれや痛みがでます。
※馬尾神経
脊髄は腰椎の1番2番の高さで終わり、そこから脊髄神経が束になって脊柱管の中を通ります。この神経の束が馬の尻尾に似ていることから馬尾神経と言われています。
腰椎分離すべり症
腰椎分離すべり症は、腰椎分離症に続発して起こります。
腰椎分離症は、発育期の過度な運動の継続により起こるといわれています。椎間関節部への繰り返す外的ストレスにより起こる疲労骨折が原因となり、骨の連続性が断たれた状態を腰椎分離症といいます。好発部位は腰椎5番で好発年齢は10代の男児です。
腰椎分離症は、野球のバッティングのような腰を捻る動作やバレーのスパイクのようなジャンプして腰を反らすような動作を反復することにより発症します。上の腰骨と下の腰骨の関節部分が繰り返しぶつかり合うことで疲労骨折を起こしてしまいます。
スポーツをしている発育期の子供が腰痛を訴えた時には、腰椎分離症を疑う必要があります。
腰椎分離症に加えて、椎間板の変性や筋力の低下などにより腰椎が前方にすべる状態を腰椎分離すべり症といいます。
腰椎分離すべり症へと移行させないためには、初期の対応が大切になります。
初期対応により骨癒合が正しく行われると、腰椎分離すべり症の発症が抑えられます。
子供が2週間以上続く腰痛を訴える場合は注意が必要です。
腰椎の構造上の問題
腰椎には構造上、得意な動きと苦手な動きがあります。
腰椎は第1腰椎から第5腰椎までの5つの骨で構成されています。下に行くほど大きくなり第5腰椎が最大の背骨になります。それに合わせて椎間板も大きくなっています。
腰椎は屈曲(前かがみ)の可動域は大きいのですが、回旋(体を捻る)の可動域は少ししかありません。これは腰椎の構造が回旋に制限をかけるような形になっているからです。
腰椎の特徴として、椎間関節面が垂直に近い状態にあることです。
頸椎や胸椎の関節面が45°ほどあるのに対して腰椎の関節面はほぼ垂直です。この構造的な特徴が回旋の可動域を制限する因子の一つになります。
回旋可動域に制限のある腰椎に対して、過度な回旋運動を反復して加えることでストレスがかかり、腰椎は破綻してしまいます。
それに加え、腰椎の動きには股関節や頸椎・胸椎の動きも関わってきます。股関節や頸椎・胸椎に制限があると腰椎に負荷がかかりやすくなり、腰椎や椎間板の変性や疲労骨折などが起こり腰椎すべり症の発症へとつながっていきます。
脊柱の不安定性
腰椎すべり症の発生には、脊柱の不安定化も要因の一つになります。
脊柱など骨の問題だけでなく、筋力の低下や不均衡による軟部組織の問題によっても体幹部分の安定性が失われます。
脊柱の安定化のために、体幹の浅い部分にある浅部(グローバル)筋と深い部分にある深部(コア)筋が働いています。
体幹部分のグローバル筋は腹直筋・脊柱起立筋・腸腰筋などがあり、コア筋は腹横筋・多裂筋などがあります。さらに上方は横隔膜、下方は骨盤底筋群が働きます。これらの筋肉が協調して働くことで、脊柱が安定した状態になります。
体幹のグローバル筋とコア筋は、脊柱の安定化のために重要な役割を果たしています。
以上のような脊柱の安定化を阻害する要因が重なることが、腰椎すべり症を発症する要因となっていきます。
不安定になりやすい背骨
人の背骨は頸椎7個、胸椎12個、腰椎5個、仙骨からなります。
背骨の主な働きは・体を支える ・運動 ・神経の保護 の3つがあります。
体を支える機能は、背骨だけでなく筋肉や靭帯と助け合いながら行われます。
このときに働く筋肉はいわゆるインナーマッスルといわれる筋肉で、中でも体幹を安定させる骨盤底筋群、腹横筋、多裂筋、横隔膜の働きが低下することで、背骨が不安定な状態になります。
背骨が不安定な状態で体を支えたり運動したりすると背骨や靭帯、椎間板にストレスがかかります。
この反応自体は、自分の役割を果たすための防御反応の一種です。
進行を食い止めるためには、筋肉と関節が連動しお互いを補い合える状態にして脊柱の安定性を高めていく必要があります。
進行を食い止めるためには、筋肉と関節が連動しお互いを補い合える状態にして脊柱の安定性を高めていく必要があります。
施術について
病院での腰椎すべり症の治療は、手術と保存療法に分けられます。症状が軽い場合、まずは保存療法が選択されます。保存療法でも改善がみられず、重篤な症状が出ると手術が選択されます。
病院や整形外科では炎症を抑える目的で投薬やブロック注射などの手段を用いたり、リハビリなどで物理療法や運動療法を行う場合もあります。
しかし、腰椎が完全にすべってしまった場合では、根本的な治療は手術するしかありません。
当院の考え方
お腹側から押すことで前方に滑っている腰椎を後方に矯正する手技はあります。
しかし、症状が軽くなることはあっても、腰椎を完全に元の位置に戻すことはできません。
前方に移動している腰椎を元の位置に戻すには手術しかありません。
ところが、レントゲンでみた時に腰椎が前方に移動していても、症状がない方もいらっしゃいます。
それは先程述べた脊柱の安定性が保たれているからだと考えています。
当院では、手術を回避したい方のために脊柱の安定化を目指した施術計画を立てていきます。
腰椎よりも胸椎と股関節の可動性を良くして腰椎にかかる負担を減らしつつ、脊柱を安定させる筋肉群へのアプローチをしていきます。
脊柱の安定化が腰椎すべり症の改善のために必要なことです。
背骨の可動性
腰椎すべり症では、腰椎が過剰に動きすぎたりして負荷がかかる状態を解消する必要があります。しかし、動いていない関節や硬くなっている筋肉に対する施術はできますが、動きすぎる関節の動きを制限する施術はありません。動きすぎるものに対しては固定して動きを止めるしかありません。
では何もできないのかというとそうでもありません。
腰椎が動きすぎているのには原因があります。他の関節が動いていないことでその代償として腰椎が過剰に動いているのです。特に胸椎や股関節、骨盤の動きが重要になります。
胸椎や股関節の動きが低下することで、腰椎がその動きを代償してしまい過剰に動く事になってしまうのです。
腰椎の負担を減らすため、胸椎などの背骨と股関節、骨盤の可動性をよくすることが症状改善のために必要になります。
筋肉の調整
筋肉の問題も関わってきます。
「脊柱の不安定化」でも説明しましたが、脊柱を安定させるためにグローバル筋とコア筋の働きが重要です。
体幹の筋肉がきちんと使えるようにする施術とご自分でおこなう筋力トレーニングを組み合わせて脊柱の安定化を図ります。
筋力トレーニングは地道で効果が実感できるまでに時間が必要になります。
しかし、腰椎すべり症の症状改善のためにはとても大切なことです。
筋力をつけることだけは他の誰でもなくご自分で頑張っていただくしかありません。
症状改善のため、最大限のサポートをさせていただきます。
通院期間について
腰椎すべり症の問題解決のためには期間が必要です。
短期的には大きく変化はしません。それは変位している腰椎だけの問題ではないからです。施術を受けるだけでなく筋肉をしっかり使えるようにするトレーニングが必要になります。
手術回避のためには、この筋肉に対するトレーニングが必要不可欠になります。
それには患者さんの努力がとても大切です。
そして、トレーニングの効果が出るまでに数ヶ月の期間を要することがほとんどだということを念頭に置く必要があります。
当院では3ヶ月を1つの基準としています。
筋肉の細胞が入れ替わるのに3~6ヶ月かかるといわれていますので、変化を起こすためには最低でもこれぐらいの期間を必要とする場合が多くなっています。
もちろん通院ペースや症状の強さ、体の状態にも影響されます。
通院期間について
最初は週に1~2回ほどのペースで通院してもらいます。
その後、体の状態により通院間隔を2週間に1回ほどにしていきます。
根本改善を目的とした長期的な観点で施術計画を立てていきます。
きちんとカウンセリングと検査を行うことで、原因となる部位を見極めていきます。
だからこそ、一人ひとりに合わせた施術計画を立てることができ、より的確に原因部位へとアプローチすることができるのです。
現在、腰椎すべり症でお困りであるならばぜひ当院へご相談ください。
つらいお悩みの改善へとお手伝いさせていただきます。
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